映画 「たそがれ清兵衛」(邦・2002)

電子うさぎ

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心優しく、欲がなく、人の喜びが幸せだと思う。

一人でいる時は、私はいつもこんな感じで、穏やかでいられる。


清兵衛が幼い娘に言った言葉
(正確ではないけれど)

「これから時代はどんどん変わる。おなごも学問は必要だ。
学問は繕いものみたいに、すぐに役に立つもんじゃあねえが、学問をすると自分の頭で考える事が出来るようになる。
自分の頭で考えるようになる事が出来れば、何とか生き延びる事が出来るからな。」


私の父は、こんな風に言葉には出さなかったけれど、私に「勉強するな」「女に学が付くとめんどくさい」「勉強してどうするんだ」「必要ない」とは、決して言わなかった。

逆に、私が勉強をしていても本を読んでいても、何かを一生懸命書いていても、絶対に邪魔しなかった。

そして、習った事を父にぶつけた時、正面から議論をしてくれた。
(実母や姉からすると、バカな掛け合いにしかとらず、隣の部屋で大笑いをしていた。彼女たちが本を読んだり、字を書いたり、何かを習っているところを見た事が無い。それに、私は家事全般をしていた。彼女たちは一体何をして過ごしていたのだろうか?)

その議論が白熱すると、喧嘩のように聞こえるのかもしれなかったが、そのお蔭で、私はどの国の人とも、臆する事無く、穏やかに正面から話をする事が出来るようになっていた。

自分で考えて、自分で切り開いて、それで挫折しても、それでも立ち上がる時に歯を食いしばって立ち上がった。


父の背中は、大きい。


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映画「たそがれ清兵衛」は、やる時はやるけれど、他の人のように狡猾ではないし、嘘もつけない。優しいし、心が豊かな小役人だった。


上記のセリフは、父親が言っているのかと思った。

父は何も言わず、背中で語っていた。


お蔭で、こうして何とか生き延びている。

どうしても助けが必要な時、私は何度も人選を間違えた。

でも、その度に、他人に丸投げして解決してもらった事は無い。

頭で考えて、間違いをしっかり受け止めて、自分の中で消化できるまで何年でも考えて・・・


私がクスリをやめて、まだ薬は体に残っているだろうけれど、断薬後、精神科の医者に掛かった時、細かい事は言わず「このままでは生きられない。どうしても生きたい。何としてでも生きたい。」とだけ訴えた。

外にも出られないほどに憔悴した後、這って、必死に訴えて「この医者なら、話を聞く」と、判断した。

そのお蔭で、私は随分体力も回復して、この冬を寒いとは感じずに過ごしている。


確かに精神科はクスリの売人で、病名もつけて、人の人生を奪う事もする。

でも、それを逆手にとって、「患者が生きていなければ、クスリを売る事も出来ないだろう?」と詰め寄る事も出来る。
(言葉にはしないけれど)

そして、面白い事に、医者はクスリを処方しても「強制的に服用させる事は出来ない」という事に気がついて、私は「要りません」とは言わず、「まだ余っています」と伝える。

クスリを服用する事は、法的な強制執行能力が無い。
(閉鎖病棟等では人権は無視されているのが現状)

そして、さらに助かる事に、クスリを止めても、法的に合法だ。

クスリを服用するかしないかは、自分で決められるという事を、私は利用した。


国家資格を持った人間は、クニの傘下で動いている。

ならば、その行間をすり抜ければいいと、私は考えた。


自分の頭で考えて、自分で判断して、自分で生きたい時に、助けを呼ぶのではなく、利用しやすい人間を利用する。

今の時代、それがまかり通るという事は、心と体で嫌という程知っている。


私はちっとも偉くない。

ばかだからこそ、大失敗ばかりして、その度に初心に立ち返って立ち上がろうとする。


自分の面倒を自分で見る事が出来るようにするには、どこか心が頑丈でなければならないのかもしれない。

きっと、私は、父から、ほぼ男として育てられたのだと思う。
生き抜くために。

それでいて情にもろいのが、どうもいけない。


清兵衛が、父に見えた。

父が、私の中でしっかり生きているのだと分かった。


虐待加害者の実母と姉の消息は分からない。
知らないし、知りたくもないというか、興味がない。


映画は、セリフというものを使ってくれている。

その時に、随分と「ああ、あれはそういう事だったのか」と気がつく事も多い。


実は、父親は神社仏閣が好きで、水墨画を描き、居合までやっていた。

そして、何よりも心の平安を大切にしていた。

私は、その背中を見て育ち、今ここにいる。


誰から生まれようと、どういう環境であっても、物を言わない背中程、強いものはないものだと思う。



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最終更新日2019-01-10
Posted by電子うさぎ

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