本 「愛をください」 辻仁成

電子うさぎ

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「幼い時に孤児院で、酷い虐待を受けて、その傷を抱えながら生きていく一人の女性の物語。それを支える「手紙」の存在」


辻仁成の「愛をください」は、菅野美穂さん主演で、テレビドラマにもなりました。(2000年放送・DVDレンタルリリースはされたはずなのですが、オンラインで合法的に視聴できる場所があるはずです)

私は、ドラマの方を見て、泣いて仕方がなかったのですが、やっぱり、最後は嘘でもいいから虐待を受けた人が優しさに包まれて、地味でもいいから「独りじゃないんだ」って思う最後にした辻仁成の、いつもとは違う「この子だけでも救いたい」という最後は、無理が無くて嬉しかったです。

辻仁成(つじひとなり)作品は、本の場合は「大体最後は、ちょっと悲しい」なのに、この作品だけは、辻仁成も「被虐待サバイバーは報われない」という現実を、何とかしたくて悩んだのかもしれないと思います。


往復書簡(手紙)だけで成り立っている本ですが、「作者は、なんで私の事を知っているんだ?」と驚きながら読み進めた覚えがあります。

今、梶井基次郎を読んでいるのですが、「基次郎?どこかで聞いた名前だなあ」と思って、ふと思い出したら、辻仁成作品の「愛をください」の文通相手の名前だったことを思い出しました。

梶井基次郎自体、鬼才だけれど、私は評論家じゃないから上手く言えないけれど、「ものすごく心がきれいな人」にしかかけない文章を書く人です。


被虐待サバイバーの気持ちを代弁してくれて、世の中に切り込んだ一冊の本が、誰かに届いて「独りじゃないんだ」って思ってもらえたらと、私は切に願います。

人を信じられず、自分を信じられず、嘘や欺瞞を見抜く目を向けると怖がられたり避けられたり、でも、その目は濁っていないのだと、私は思うから。





私にとって、猫さんは、「基次郎」みたいな存在でした。

だから、蔵書にしてあった「愛をください」は、もう読めません。

でも、泣きながらでも、また読まなくちゃ生きていけないかもしれない。

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最終更新日2018-11-26
Posted by電子うさぎ

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